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「伝説のハンドメイドアナログシンセサイザー」
Dual Voice MIDI-CV 回路のサポート (プリント基板とマイコン配布)

書籍中でも約束していました、「デュアルボイスMIDI-CV変換」で紹介した回路の 「プリント基板」と「プログラム書込済ATmega328P」が配布できる運びになりました。  (お待たせしました。)
誠文堂新光社さんから配布する案、私が直接配布する案など色々検討してきましたが、 今回、書籍の中でも紹介しています温度補償付きデュアルトランジスタなどの素晴らしいパーツを製品化されている "beatnicさん"に協力をお願いすることになりました。

beatnicさんのサイトから提供開始しました。

プリント基板とマイコン配布ページ 
ニュースリリース 

なお製品の内容についての責任は私に有り、サポートもこのサイトを通じて行います。問題点とかありましたら、是非ご連絡をお願いします。
今後も新しい情報はサイトに上げて行きますのでよろしくお願いします。
新しい情報は、私のTwitter " @hhh_yama"で発信しますのでチェック頂けると幸いです。


  図3-12「新たに設計したMIDI-CV変換モジュールの回路」の注意点

  図中のDINコネクタの接続図は、正面からみた図にも見えますが、正しくは「コネクタの裏面(ハンダ付けする側)から見た図」です。紛らわしいくてすみません。




MIDI-CV変換ソフトのバージョンアップについて

書き込み済みのマイコンの配布をお願いしていたbeatnicさんに、プリント基板の配布もしていただくことになりました。手間を減らすためセットでの配布一本になります。
元々このMIDI-CVは、書籍の復刻編にあるアナログキーボードの自作が現実的ではないので「今つくるなら」として加筆したもので、書籍としてはあまり積極的にアピールする意味合いを持たせておりませんでした。
しかしプリント基板まで配布することになり、多くのご予約をいただいているようですので、ご購入いただいた方に期待はずれと思われないよう、私自身不満だった点について、このタイミングで変更(バージョンアップ)することにしました。
(既にマイコン単体を入手されている方は、beatnicさんにご相談いただいたら対応して頂けることになっています。beatnicさん。ごめんなさい。)

◆バージョンアップの内容 

変更内容は、新たな動作モード(CV0 と CV1 から低音優先の同じCV を出す「ユニゾンモード」)の追加です。 これにより、動作モードは次のようになります。
   mode 0 JP6(ON), JP5(ON)  シングルボイス (CV0: 低音優先CV, CV1: ベロシティ)
   mode 1 JP6(ON), JP5(OFF)  シングルボイス (CV0: 高音優先CV, CV1: ベロシティ)
   mode 2 JP6(OFF),JP5(ON)  デュアルボイス (CV0: 低音優先CV, CV1: 高音優先CV)
(新)mode 3 JP6(OFF),JP5(OFF) ユニゾンモード (CV0: 低音優先CV, CV1: 低音優先CV)

このモードは、「デュアルボイス」を効果的に使えるように新設したもので、JP5 を引っ張り出して、トグルスイッチ等に接続することを想定しています。 JP6 はoff固定とし、このスイッチをoff にすると新設の「ユニゾンモード」、スイッチをon にすると「デュアルボイスモード」に切り替えられます。
このように、演奏中にフレーズに合わせてダイナミックにモードが切り替えられるようになります。例えば、通常はシングルボイスの「ユニゾンモード」を使い、ここぞと言うときに、「デュアルボイス」に切り替え、インパクトのあるフレーズを演奏させることができるようになります。

◆バージョンアップの理由 

「デュアルボイス」は、単音楽器としてのアナログシンセの表現と、和音(2音ですが)による表現が両立できる面白さがあります。モノシンセ特有のポルタメントを活かしつつハーモニーが出せる点などです。  運指の制約が多く演奏は難しくなりますが、うまくするとインパクトある表現ができるので、面白く思って頂けるとは思いますが、実使用を考えるとふつうのシンセと同じような演奏ができないなどの欠点がネックになって、「面白いけど実際には使えないね」ということになることを危惧しています。それでは残念なので、何とか有効に使って頂くための工夫が今回のバージョンアップです。
少し例を挙げて説明します。
fig.1 はデュアルボイス・キーボードの特長を活かす例です。上のグラフは押さえるキーを表し、下のグラフは出力されるふたつのCV 値を示しています。背景がオレンジの部分がデュアルボイスを活かした部分で、常に2音以上の押鍵をキープする運指をするとうまくいきます。とにかくキーを離さないようにレガートに弾く感じです。図では、軽くポルタメントを効かせています。ポリフォニックでできない表現でインパクト大です。

support support

デュアルボイスの課題は2つあって、

(1) デュアルボイスとして2つのCV 値をホールドしたままキーを離すことが難しい点です。(fig.1 中の課題1の箇所)
  実際、少しでもどちらかのキーを離すのが早いと、一旦ユニゾンに引き込まれてからそのCV がホールドされてしまいます。
この課題については、現ソフトで配慮しており、キーオフの同時性の判断に数msecの幅を持たしています。この範囲内で同時にオフできるように練習すれば、2音ホールドリリースは可能です。(この点はメカニカルにゲートのリリースを早められるアナログキーボードに分があります。ゆっくりリリースすれば2音ホールドは容易でした。)

(2) モノシンセのようなレガートな演奏が得にくい点
  fig.2 のようにレガートにスケールを弾くと、少しずつ2音が重なるタイミングがあり、ポリフォニックシンセ的な雰囲気のスケールになってしまいます。
これはこれで面白いく、図のようにこれにポルタメントをかけると聞いたことのない雰囲気になるのですが、 逆に今までのモノシンセで普通にできた、ゲートを切らずに軽くポルタメントをかけレガートなスケールを弾くことは大変難しくなってしまいます。(オーパラップを実質無しにしなければならないため)

(1)のような新たな表現は練習する気になっても、(2)のように今まで簡単にできたことが難しくなるのは残念です
そこで考えたのが、今回追加した「ユニゾンモード」です。
「ユニゾンモード」では2つのCV 出力( CV0,CV1 )から同じCV0 が出力されるため、今まで通りのモノシンセ(2VCOユニゾンの)となり、「デュアルボイス」に切り替えたときのみ、デュアルボイス動作をします。ここぞと言うときに、トグルスイッチを切り替えて使用すれば良くなります。
もともとあったmode 0, modo 1 は、CV1 からベロシティが出るため、パッチングを変更しないとモード変更できないため、新たなモードを追加しました。
少しずるい気もしますが、これでデュアルボイスを活用して頂けると思います。
製作される方は是非ご活用願います。



Dual Voice MIDI-CV回路の実装

◆回路図 

基板作成のために書きなおした回路図です。書籍の回路図は部品番号がなかったので、サポートはこちらの回路図で行います。(内容は同じです)

support CircutPDF

◆プリント基板(ver.1) 

作成した基板(ver.1)です。

support support

◆注意点 

・シルク印刷の79L05は、78L05のまちがいです。(回路図は正しい)
・ジャンパーピンJP1~JP6は、ランドが3個並んでいるうちの左ふたつに実装してください。
  実は、ジャンパーとディップスイッチのどちらも実装できるようにしたつもりでしたが、横幅不足でディップスイッチは実装できなかった。
・フォトカプラーがC4 に近いので、C5 は実装不要です。
・セラロックは、ピンの並びが直線のものと三角のどちらも実装できます。 ・78L05 は、1 pinが右向きに実装してください。
・半固定抵抗は、多回転型が必須です。

他の注意点は、書籍を参照。



Dual Voice MIDI-CVの調整

◆動作チェック  マイコンが動いているか? 

Portament VRをつなぎ最大にして、下記の「調整モード」に入ると、 Gate LEDが4秒点灯、4秒消灯を繰り返します。まずこれを確認してください。

◆調整箇所  CV0 と CV1 のオクターブ間隔の調整 (オペアンプのゲイン調整)

たかが、各チャンネル1箇所ずつのゲイン調整を行うだけですが、アナログシンセの基本ルールである(1V/Oct)根幹の 調整で有り、通常のシングルボイスのものでもかなりの精度が要求されます。
特に今回はデュアルボイスですの、当然2つのチャンネルに独立した2つのVCOを接続しますので、 その相対誤差は2音ハーモニーの変化に直結します。
キーを1つしか押さない場合は、ユニゾンとして好みのディチューン度合いを維持するには両チャンネルで 同じCV 値を出さなくてはなりません。 半音が83mVであることを考えると、1~2mVのトラッキング誤差に押さえないと、単一のCV による2VCOのユニゾンに見劣りしそうです。 デジタルテスターの最小分解能相当の厳しい調整ですが、3度や5度の美しいハーモニーがピッチを変えても響きが悪くならないためにも必要です。

このようにデュアルボイスMIDI-CV では、電圧そのものを精度良く調整することも必要ですが、それ以上にCV0 と CV1 のトラッキング精度は特に重要ですので、下記に調整方法を詳細に説明しますので心してお願いします。


◆調整モード

本MIDI-CV のソフトウエアは、この調整をし易くする調整モードを持っています。

 入り方  Portamento VR を最大にして電源を入れる。
 抜け方  Portamento VR を最大から少し絞る。
      一度抜けると、再度Portamento VR を最大にしても通常動作を継続します。

 調整モードの動作
   以下の① ② を繰り返します。

    ① CV0とCV1 に4秒間、Gate LEDを点灯し、電圧A(約1V)を出力する。

    ② CV0とCV1 に4秒間、Gate LEDを消灯し、電圧B(約5V)を出力する。

   調整モード中は、GATEも出ているので音も出せます。

support

◆具体的な調整手順

 【1】上記方法で調整モードに入る。

 【2】CV0 の調整 (CV0 を正確にオクターブ調整

① CV0 出力とGND 間にデジタルテスターを接続する。

② 交互に出力される、電圧Aと電圧Bを計測し、電圧B-電圧A が正確に4VになるようCV0の半固定抵抗を調整する。

それぞれの電圧の絶対値では無く、電圧の差を正確に合わすことが大切です。
この調整の意味は、オペアンプには入力オフセット電圧という誤差があり、正確に0Vや5Vはでません。
本来ならこの誤差も半固定抵抗を追加して調整するやりかたもあるのですが、 アナログシンセで重要なのは正確なオクターブ間隔で、ピッチのずれはVCOのチューニング操作 で解決されるので良しとし、オクターブ間隔だけを正確に調整できれば十分です。

③ CV0の半固定抵抗を固定用ペイントで固定します。

 【3】CV1 の調整 (CV1 を CV0にトラッキングさせる)

  CV1 を独立に調整する方法では、上で説明した精度が得られないので、CV0 と CV1 の電圧差を合わせます。
先にCV0と同じ方法で概略調整しておきます。

④ CV1 出力に赤プローブ、CV0に黒プローブを接続する。

⑤ 交互に出力される、電圧Aと電圧Bのどちらも同じ電圧表示になるよう、CV1の半固定抵抗を調整する。
 (電圧表示は通常ほぼ0Vですが、0に合わせるのでは無く、どちらも同じ電圧になるように調整します。)
 この調整によりトラッキング精度はテスターの精度(1mV程度)まで持ってゆけます。
⑥ CV1 の半固定抵抗も固定します。

   以上で調整完了です。




ご質問などありましたら、連絡願います。
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